故に世の中おもしろい(未確認飛行物体を探して)

未確認飛行物体を探して

 
今回は「UFO(UnidentifiedFlying Object)」、つまり「未確認飛行物体」の話をしよう。その存在を「一つの詩として理解する」と表明していたのが作家の三島由紀夫だ。

1955年に結成された「日本空飛ぶ円盤研究会」(事務局・東京都)のメンバーだった。「円盤が現れるかもしれない」。そんな情報が入ると、自宅の屋上に上り双眼鏡を手に空を観測。東京・日比谷の日活国際会館屋上で57年に行われた「国際円盤観測会」にも参加した。

みずからの人生と肉体をもって思想を現実化させようとした三島。およそ純文学の世界になじまないように思われる空飛ぶ円盤に興味を抱いたのは、フランスの新聞記者A・ミシェルが書いた「空飛ぶ円盤は実在する」(56年、邦訳)を読んでからだという。「空にはときどき説明のつかぬふしぎな現象があらわれることはまちがいがない」と話していた。

「仮面の告白」「潮騒」「金閣寺」「豊饒の海」など数々の名作に隠れ、目立たないかもしれないが、三島には異色のSF小説「美しい星」(62年)がある。埼玉県飯能市に住む資産家一家が円盤を目撃したことから、実は自分たちが別の天体から飛来した宇宙人だったことに気づくという物語である。一家は、人類を核戦争の脅威から救うため、さまざまな活動を始める。

当時は東西冷戦下。核戦争に突き進もうとする人類に警鐘を鳴らそうとしたのが「美しい星」と言えよう。三島はUFOを探しながら地球の未来を考えていたのではないか。

朝日新聞編集委員 小泉 信一



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