寝ても覚めてもすぽーっ!(女王の進化と深化)

女王の進化と深化


記憶に残る言葉でした。「あなたがどんなメッセージを受け取ったのか。それの方がもっと大事です」
 
テニスの4大大会、全米オープンで優勝した大坂なおみ選手は、大会中につけた黒人差別に抗議する黒いマスクの意図を改めて問われ、こう返しました。
 
主張を繰り返すだけでは進まない。一方通行ではなく、ともに考えて欲しい、というのが含意でしょう。感情に流されず、問題の共有を訴える誠実さが心に響く言葉でした。彼女を米誌タイムが「世界で最も影響力のある100人」に選んだのもうなずけます。
 
2年前のことを思い出します。場所は同じ全米オープン。初めて4大大会決勝に進み、過去4大大会で23度も優勝していたセリーナ・ウィリアムズ選手をストレートで倒しました。
 
しかし、表彰式は異様な雰囲気に。微妙な判定が続いて観客席全体がウィリアムズ選手の応援に回り、大坂選手の動揺は痛々しいほど。インタビューで涙をこぼし、勝つたことを謝罪する場面さえありました。
 
この出来事はその後も論争が続きましたが、ウィリアムズ選手が勝者の晴れの時間を奪ってしまったことを謝罪。受け入れた大坂選手は、長く女子テニスを先導してきたリーダーにエールをおくりました。
 
勝者への敬意と敗者へのいたわり。闘うべきものへの決然とした姿勢。経験を通じて多くを学び、推進力としてきたのでしょう。
 
体幹を鍛え、土壇場で決めるショットの正確さが象徴する技術の進化と心の深化。2年間の成長に底知れぬ可能性を実感します。

朝日新聞論説委員 西山良太郎


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